長北 健嗣 
 長北 健嗣
 (kenjinagakita)

【第14回】“なりきり力”を強化して文章力アップ(1)

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こんにちは。コンセプトライターの長北です。

 

前回は“書きやすい設定”についてお話しました。例として、名作ドラマ『前略おふくろ様』をあげたところ、「20代や30代の人は、そのドラマ知らないよ」と妻から冷たく言われてしまいました。もう35年も前の作品だったんですねえ…(遠い目)。

 

こんなふうに、設定を読み間違えるとせっかくの苦労も逆効果になります。

皆さま、くれぐれもお気をつけくださいね。

 

 

だれもが潜在的に持つ“なりきり力”

 

“具体的な読み手を想定して、その人に向かって書く”というのが前回のお話の主旨でした。距離感や理解度など総合的な観点から、母親を読み手として設定するのが一番書きやすい。そこで、とっておきの『前略おふくろ様』が登場したわけです。

 

さて、今回は、さらに1歩進んだ、読みやすい文章を書く方法をお話しましょう。その方法とは、ズバリ、“なりきる”こと。『前略おふくろ様』方式では、書き手は自分でした。しかし、今回お話する“なりきり”方式では、自分という存在を消してしまうのです。

 

「自分という存在を消す」って、一体どういうことでしょうか? ちょっと分かりづらいかもしれませんが、要は、自分をいったん棚上げして、他人のふりをして書く、ということです。なんだか無責任な感じがしますよね。

 

でも、人間不思議なもので、何者かになりきることで自分を縛りつけていたものが外れるのでしょう。読みやすい文章がスイスイ書けるようになる人が多いのも事実。つまり、ほとんどの人が“なりきり力”を潜在的に持っているんですね。

 

“なりきり力”を用いた書き方には3段階あります。

まず、目についた身近なモノや動物になってしまう方法です。

 

たとえば、飼い犬や飼い猫になりきって書く。

「豊臣家の番犬、ヒデヨシです。ご主人様が寝坊してるおかげで、今朝はまだゴハンがもらえません。お腹空いたなあ…」みたいなやつですね。ペットの気持ちを代弁する体で、そっと自分の主張を織り交ぜた文章は、ブログやFacebookの投稿などでよくお目にかかりますよね。

 

 

モノになってみるのもオススメです。

たとえば、「ボク、長北家のトイレです。手荒に扱われていましたが、最近、どういう風の吹き回しか、毎朝磨いてくれるようになりました。そのほうが風水的にいいそうです。風水はよくわからないけど、気持ちいいから嬉しいなあ」など。

 

冒頭で「ボク、○△です」と名乗ることが、スムーズに書くコツです。これ、やってみると意外に楽しいので、ぜひお試しを。

 

当連載第9回で“たとえ力”をお話しましたが、覚えていますか? コーヒー豆を“コーヒー豆くん”にヒト化させましたよね。今度は実際に喋ってもらおう、というわけです。モノの場合も冒頭で「ボク、△□です」と宣言すると、スムーズに書き進めることができます。

 

お気づきの方も多いと思いますが、この手法、実際の広告でも盛んに用いられています。つまり、手軽に共感を得ることができる手法なんですね。御社で扱っている商品やサービスで、ぜひ試してみてください。

 

 

有名人になりきって考えてみる

 

“なりきり力”を活用した書き方の第2段階は“有名人になりきってみる”です。

最近、ブログやFacebookの投稿などで、お笑いタレントのスギちゃんのスタイルをよく見かけると思います。

 

「今日はあまりに暑かったから、ガリガリ君を3本、続けざまに食べちゃったんだぜぇ。ワイルドだろ〜?」なんてやつですね。日常のちょっとした失敗や蛮行(!?)を報告するのに、たいへん重宝します。試してみた方は、おわかりいただけるでしょう。

 

若い人、とくに小学生あたりの会話を聞いていると、こうした有名人のスタイルを巧みに取り入れ、コミュニケーションを図っているのがよくわかります。大人になると、どうしても頭が固くなってしまいますが、流行する言葉やスタイルには“使いやすい”という理由があるんですね。

 

とはいえ、お笑い芸人さんたちの言葉やスタイルは、旬が過ぎると使えないというのがデメリット。そこで活用したいのが、文化人や芸術家、スポーツ選手など、独自のスタイルを築いた人の発言です。

 

たとえば、ギターの神様、エリック・クラプトン。

彼の発した言葉にこのようなものがあります。

 

“ステージに上がったとき、自分が一番上手いと思え。

ステージを下りているとき、自分は一番下手だと思え。”

 


 

さすが、ギターの神様の言うことは違います。こんな人が自分の上司や先輩にいたら、いい勉強になりそうですね。もし、あなたがエリック・クラプトンになりきったとしたら、部下にこんなふうにアドバイスするかもしれません。

 

“プレゼンの場では、ウチの製品が一番優れていると思え。

プレゼンにたどり着くまでは、ウチの製品は一番見劣りすると思え。”

 

なかなかハマってますよね。“有名人なりきり”の場合、動物やモノと違い、「私、○□です」で書き始める必要はありません。と申しますか、「わたくし、部長のエリック・クラプトンです」なんて書き出しではギャグになってしまいます。心の中で宣言した後、本文を書き始めましょう。

 

このように、“なりきり”は、実は日常的に使われている身近な手法です。自分主体ではどうしても筆が進まない方、「“ワイルドだろ〜”なんて恥ずかしくて書けない」などと言わず、ぜひチャレンジしてみてください。新しい世界が広がるはずです。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

次回は“なりきり力”を用いた書き方の第3段階をお話します。

また来週お会いしましょう。ゲッツ!(古っ!)

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