長北 健嗣 
 長北 健嗣
 (kenjinagakita)

【第18回】思い出を発掘して楽しく書くコツ

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こんにちは。コンセプトライターの長北です。

前回は、書くテーマを掘り下げたり細分化すること、そして、書きやすい構成についてお話しました。今回は、実際の文章を題材に、話を進めていきましょう。

 

 

“書き進めやすくなる構成”を意識する

 

まずは、以下の文章を読んでみてください。

 

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さて、今回は私とビートルズとの出会いについてご披露したいと思います。ただし、“出会い”と言っても、実際にビートルズのメンバーと会ったことはありません。あくまで、“曲との出会い”についてですので、あしからず(笑)。

 

ビートルズはご存知のように1960年代に活躍した英国のロックバンドです。1962年のレコードデビューから1970年の事実上の解散までの間に200以上の楽曲を残しました。そのすべてが“心に残る曲”と言っても過言ではないでしょう。

 

私とビートルズとの出会いは、思い返してみるとビートルズ解散の翌年、1971年に遡ります。もう40年以上も昔のことなんですね。当時、小学3年生だった私は、友人宅に遊びに行った際、船橋ヘルスセンターのアイススケート場に連れて行ってもらいました。

 

船橋ヘルスセンターというのは、現在ららぽーとがある場所に建てられていた一大レジャー施設です。ドリフの「8時だョ!全員集合」の公開放送などもよく行われていて、見に行ったものです(自慢・笑)。

 

すみません、話がそれました。スケート場の館内では、常に音楽が流れていました。おそらく、当時のヒット曲が中心だったと思います。音楽に興味があったわけでもなかった私は、友人とのスケートに集中していました。そんな中、流れててきたのが“その曲”だったのです。スケートリンクを周りながらも、私は“その曲”に聞き入っていました。

 

とはいえ、“その曲”は外国語だったので、なんと歌っていたのかわかりません。口ずさもうにも上手くいかず、周りに音楽に詳しい人もいませんでした。かくして“その曲”は私の脳内に“気になった曲”として格納されることになったわけです。

 

“その曲”が明らかになったのは、それから4年後のことでした。中学の同級生が「ビートルズ知らないの? じゃ、これ聞きなよ」と貸してくれたのが、いわゆる“青盤”でした。2枚組のレコードをA面から順番に聞き進むうち、ついにD面の後半で“その曲”に再会することができました。“その曲”とは、ビートルズ最後のシングル『レット・イット・ビー』だったんです。

 

これを機に、私の洋楽への傾倒が雪崩のごとく始まりました。『レット・イット・ビー』は、洋楽に目覚めるきっかけを与えてくれた。つまり、私の人生を変えた1曲と言えるでしょう。あなたにもそんな一曲、ありますよね?

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まずは、楽しくなる思い出を発掘しよう

 

前掲の文章は、知人の某音楽家が自身のブログに掲載したものです。私のアドバイスをもとに、本人が執筆しました。転載許可、感謝です。

 

彼もまた、ブログは開設してみたものの、“なにをどう書いていいのかわからない症候群”に陥っていました。そこでまず考えたのは、書くテーマを絞ること。クルマや映画、B級グルメなど、いろいろと蓄積は持っている彼ですが、本業は音楽家。「まず書くべきことは、音楽についてでしょ」と、当面のテーマが決まりました。他のジャンルについては追々考えればいいわけです。

 

「でもなあ、音楽っていっても広すぎてなあ…」


「だったら、音楽を始めたきっかけを書けば?」


「きっかけ? そりゃ、女の子にモテたいからでしょ」


「う~ん、一応、音楽家としてのカッコつけというか、ブランディングは大事だよね?

その件は別の機会に書くとして、もっと音楽的にないの?“この曲が好きで”とか“この人に憧れて”とか」


「やっぱ天地真理の“恋する夏の日”。アグネス・チャンの“妖精の詩”も好きだったな」


「あ、俺も好きだった。いや、だから、そうじゃなくてさ…」

 

てな感じで楽しいコンサル(!?)を続けた結果、音楽にのめり込む直接のきっかけとなった曲と、それにまつわるエピソードが発掘されたのです。

 

 

書く内容が決まったら、その時の状況や風景を思い出しながら書いていきます。

まず、1段目で“今回は○△について書きます”と宣言この文章では「(自分の音楽家としての原点である)ビートルズとの出会いについて書きます」と述べていますね。

 

次の2段目では、簡単にビートルズの解説。「ビートルズなんて誰でも知ってるんだから、解説なんて要らないでしょ」とは考えないでください。Facebookなどの内輪でのやりとりはともかく、ブログやHPなどは誰が見るかわかりません。一般的な情報をひと言添えるだけで、間口がひろがり、親切な文章になります。

 

また、2段目でいったん一般的な情報を共有することによって、一体感が生まれる効果も期待できます。1段目の“宣言”の後、いきなり個人的な内容に入るより、ワンクッション置くことで、「あ、これから、私もよく知っているビートルズについて書くんだね」と、読む人の“了解”を得ることができるからです。

 

そして3段目。思い出したことをありのままに、自由に書いて行きましょう。船橋ヘルスセンターの場面、すごくイキイキと描かれていますよね。彼自身、「書いていて楽しかった」と言っていましたから、この試みは成功だったようです。この部分をさらに客観的に描写していくと小説になるわけですが、それはまた別の機会に。

 

書くテーマを考えることはできても、内容を考えて書くことはかなり難しい作業です。“考える”よりも“思い出す”こと。ご自身の思い出を“発掘”して、楽しく書いていきましょう。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

また次回お会いしましょう。

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