夏川 賀央 
 夏川 賀央
 (gaonatsukawa)

【第5回】電子出版で売れるものとは?

このエントリーをはてなブックマークに追加

 

皆様、こんにちは。夏川賀央です。

「賢者の書店」の運営をはじめた経緯から、電子出版をテーマにしたブログをずっと続けています。今日は電子出版において、どんな企画が望ましいのか。私なりの見解を少し綴ってみたいと思っています。

 

 

電子出版で売れる企画

 

電子出版で売れている本、と言われると、すぐ「アダルトでしょ」とか、「マンガでしょ」と言われる方がいます。

 

確かにPDFのブックストアである「パピルス」が伸びてきた経緯を見れば、そういう部分は否定できません。アップルのAppStoreでは本の規制が行なわれていますが、それでも「モテる」とか「口説く」といったテーマの本は、多く出版されて人気を集めているようです。

 

ただ、ではそればかりかといえば、じつはそうでもありません。たとえば拙著で恐縮ですが、現在、講談社のプラスアルファ文庫から650円で発売されている『すごい会社のすごい考え方』という本があります。

 

こちらはもともとユナイテッド・ブックスという出版社から発行された単行本で、2010年の1月に出版されました。まったく売れなかった……ということはなかったのですが、この出版社が電子出版に事業をシフトするということになり、重版を待たずに書店からは消えています。部数は5000くらいでした。

 

ところが同社から今度は電子出版として継続販売され、なんと数カ月連続でベストセラーにランクイン。いまも発売中ですが、5万部を超えるヒットになったのです。それに目をつけた講談社さんから「文庫にしよう」という提案があり、再編集のうえ、今年の7月に発行する運びになったわけです。

 

では、なぜ売れたのか?

 

条件としてはこの本が、「すごい会社」としてアップルやグーグルなど、電子出版を読む読者にとって興味対象になりそうな企業を、多く掲載していたこともあるでしょう。ただビジネス書、自己啓発書、一般書などでも、タイトルで興味を惹き付けるものならば、ジャンルに限らず読者はちゃんとついてきてくれる、ということなのだと思います。


ちなみに現在のAppStoreを見れば、売れている本は「日本史」だったり「コミュニケーション」だったり。電子出版とリアル出版の垣根はだんだんとなくなっているようです。

 

 

まずは、あなたなりの得意分野で勝負!

 

ただしAppStoreなどで本を売るためには、マーケティング戦略が欠かせないことも事実でしょう。私の『すごい会社のすごい考え方』にしても、85円の最低価格で販売がされていました。著者泣かせの話ですが、多くの売れている本はやはりこの程度の低価格で売られているようです。

 

さらにAppStoreのようなストアでは、ランキングされている本を見て、「試しにダウンロードしてみよう」とiPhoneやiPadなどに落とすような形の販売が多くなります。すると最初の段階で「ランキングに入れる」ということが重要になっているわけです。この点は各社の努力でベストセラー戦略を行なうしかありません。

 

ただ、これが自社サイトから購買を誘導するような「コミュニティ販売」ならどうなるか?

 

たとえば山田さんという人のブログに、ファンの方が訪れる。そのファンの方は、ブログを見て、山田さんが電子出版を出していることを知る。「へえ、じゃあちょっと見てみよう」と、販売サイトに行ってダウンロードする……。

 

これならば「ランキングしているかどうか」とは関係ない。「面白い本がないかな」と書店サイトを検索する人でなく、最初から「山田さんのこの本を買おう」と決めている読者を対象にするから、値段や話題づくりに関係がなく本が買われるわけです。

 

ならばこの山田さんのファンは、山田さんのどんな本に興味をもって「買おう」という気になるのか?

 

たとえば山田さんがフラワーアーティストだったとする。読者は山田さんのアレンジする花を「見事だなあ」「どんな作品をつくったのかなあ」と、サイトにアクセスする。当然ここで「子供のころの思い出を書きました」と言われても、あまりピンと来ないでしょう。

 

やっぱりファンになった理由である「お花のこと」がカギになるわけです。花をキーにした写真入りのエッセイとか、写真集だっていいのかもしれません。

 

つまりは自分が最も得意とするものであり、一番人を集める要素のあるものを、本のテーマにすることがもっとも理想的であるわけです。イラストレーターならイラスト。ファイナンシャルプランナーならお金のこと、という具合ですね。

 

もちろん1冊が出れば、その次はもっと広く……ということで、テーマは徐々に広げられます。ただ最初が一番肝心だ、ということで、次回は「企画づくり」について述べてみたいと思います。

 

 

 

 

 

 このエントリーをはてなブックマークに追加
                       
< このカテゴリの前の記事
    
HOME│      このカテゴリの次の記事 >