夏川 賀央 
 夏川 賀央
 (gaonatsukawa)

【第6回】本の企画書をつくってみる

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皆様、こんにちは。夏川賀央です。

 

前回は電子出版に関連した「企画」について話させていただきました。そこで今回はより具体的に、「企画書づくり」について述べさせていただきたいと思っています。

 

基本的にこちらは、リアルの本を出したいと思っている方にも原則は変わらないと思います。長く出版にいた経験から述べさせていただきますので、参考にしていただけたら幸いです。

 

 

企画書って何だ?

 

企画書については様々なことが言われていて、「通る企画」についても、いろんな論があるでしょう。

 

しっかりしたコンセプト、綿密な資料、わかりやすいビジュアル……プレゼン企画ならそれでもいいのですが、出版社に提出するようなことを考えると、必ずしもこれは正解ではありません。

 

私は大学を卒業してから十数年、計3社にわたって出版社に勤めていました。その経験からいえば、出版社には毎週、大量の企画書が「本を出したい」という人から送られます。一方で編集者というのは、おおむね「忙しい」仕事です。

 

というわけで、膨大な企画書を書いたところで「読まれない」んですね。一個の企画書から可能性を一生懸命に探る編集者など、ふつうはいません。「パッと見て引っかかるかどうか」なんです。

 

するとプロセスからいえば、

「タイトル → 著者のプロフィール → 『面白いかな?』と思えば本の構成」

と、そういう感じなんですね。

 

企画書の形式もさまざまで、出版社によっては本当に「タイトル1行」なんていうところもないわけではありません。ただ、これは編集者がつくる場合で、著者側がやるべき手ではないでしょう。

 

タイトルというのは「何の本か?」だけが重要であり、編集者が気にするのは多くそれが「売れるカテゴリーに当てはまるかどうか」になります。 たとえば「コミュニケーション」のようなテーマを出されて、プロフィールを見ると、「婚活コンサルタント」などとある。ならば、「愛される会話術」みたいなものができるか、と考えるわけです。

 

一方で「評論的なもの」であるとか、「日本はどうなる?」みたいなものを出されても、よっぽど有名な人でなければ即ボツになる。タイトルがあまりに難しかったり、意味が不明だったりすると、その時点で「ダメこりゃ」とスルーされます。

 

あの勝間和代さんも、最初の本を出すまでには結構苦労されている。それはテーマに当時一般的でなかった、「ワークライフバランス」といったものを掲げていたからでした。

 

 

内容はそっちのけで、「目次」をつくる

 

「著者のプロフィール」というのは、ウソをついても仕方がありません。こちらは詳しく、丁寧に自分を紹介することが望ましいでしょう。ときどき「大手企業に在籍、そのかたわら執筆にも積極的にかかわり、機関誌や同人誌に数多くのエッセイを投稿」なんて肩書きを語る人がいます。

 

機関誌やら同人誌……出版社にはアピールになりません。むしろ「大手企業」のほうが重要で、たとえば「受付をずっとやっていた人なら人をたくさん見ているな」とか、「総務なら職場のあれこれを見ているな」とか、保険業ならどうか、「ITかいいね」なんてことで編集者は著者の特徴を見出すわけです。

 

この点で自分の仕事は、一番の資料提供になるでしょう。

そして本の内容を、こと細かに書く必要はありません。

 

むしろ重要なのは構成。つまりは「目次をつくってしまうこと」です。

「本を書く前から目次なの?」と怪訝に思う人もいるかもしれませんが、ようするに目次というのは本の骨格を示すものです。目次が最初からちゃんとできていれば、「ああ、これは本として成立するな」とか、「なかなか面白いのではないか」と編集者は見ます。

 

目次はどの程度、書くの?

通常のビジネス書であれば、6〜7章の構成があり、あとは各章7〜10程度の「小見出し」となります。結論から言えば、「すべて出したほうがいい」ということになります。

 

そんな細かい部分までつくっても、書いているうちに内容は変わってくるのでないか?

もちろんその通り。私も企画書を提出して、実際の執筆が目次どおりになることなど、ほとんどありません。

 

でも、チェックする人などいないし。ようは「企画書を通すこと」が前提なのです。小見だしのなかに興味を引くようなキーワードを多数入れておけば、それらが出版社にとっては「本の魅力」になり、「どう差別化するか」もそのなかから出てきます。

 

箇条書きだから編集者も内容をざっと見てくれるし、各項から可能性を探ってくれる。また細かい目次があるだけで、「完成度が高い」という印象になることも重要でしょう。そうは言っても、「細かい目次をつくるのは、案外と大変だ」と考える人もいるかもしれません。

 

次回は私の本を題材にして、「どのように本の構成をつくるか」ということを少し考えてみましょう。

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