天野 暢子 
 天野 暢子
 (nobukoamano)

【第21回】山中教授のマラソンプレゼン

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プレゼン力の山中


今週はiPS細胞の山中伸弥教授(京都大学)のノーベル賞・医学生理学賞の受賞が発表され、日本中が喜びに沸きました。ご本人のひょうひょうとした風貌や研究を陰で支えた奥さまの人柄も重なり合って、多くの日本人がファンになったようです。

 

山中教授は高いプレゼンテーション・スキルを持つ人としても知られています。医学博士のプレゼンと言えば、普通は国内・海外での学会発表を指すのでしょうが、教授は研究ポストを得るための面接、研究資金を獲得するための審査ほか、研究室の学生を募集する際でもアメリカで磨いたプレゼン力を発揮してこられたそうです。

 

 

マラソンもプレゼンになる


一連の受賞報道の中で私が目を留めたのは、今年の京都マラソンを完走すると宣言して研究資金を募った活動でした。作戦自体も奇抜ではありますが、新聞に載っていた写真の山中教授のゼッケンには「山中伸弥」と氏名が明記されているのが不思議でした。マラソン大会のゼッケンは番号だけが印刷されているはずだけどなあ…と、大会のホームページを確認したら、選手のゼッケンはやはり番号だけでした。

 

山中教授のゼッケン

 

 

すると、山中教授だけが特別なゼッケンを着用していたことになります。ご本人が自作されたのか、特別枠の選手は別のゼッケンが用意されていたのか分かりませんが、42.195キロを名前でアピールしながら走ることができたわけです。後日別の報道でその写真が使われたので相乗効果も生まれ、研究資金を募るために走る山中伸弥の名前は全国で知られることになりました。

 

京都マラソンのゼッケン(一般)

 

 

ビジュアル化でアピール


「研究資金を集める」というゴールのために、人々を「寄付」という行動に動かすにはどうしたらいいか?を考えて、山中教授が実行したのが寄付サイトにマラソン完走を宣言し、名前をアピールしながら走るという手法でした。

 

「人を行動させるための活動がプレゼンテーション」というのが私の持論ですが、中でも誰かにお金を払わせるという行為が最も難しいのです。このマラソンで多くの寄付が集まったというのですから、見事なプレゼンだなあと感心しました。サングラスに帽子で走っていても山中教授だとは気づかれませんから、氏名をビジュアル化したことが勝因だと思います。

 

エリートビジネスマンがPowerPointで作ったスライドをスクリーンに映し、身ぶり手ぶりで話すだけがプレゼンではありません。山中教授のマラソンも立派にプレゼンなのです。

 

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