夏川 賀央 
 夏川 賀央
 (gaonatsukawa)

【第8回】 うったえる「著者」プロフィールの考え方

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こんにちは。夏川賀央です。

 

ずっと「本の企画書づくり」について述べてきましたが、今回は意外とおろそかにされてしまう「著者プロフィール」について述べさせていただきます。

というのも、結構これ、「出版社がその人の本を出したいと思うか?」にとって重要なんですね。

 

 

著者プロフィールの考え方

 

企画書の概要について述べたとき、編集者は、「タイトル → 著者のプロフィール → 『面白いかな?』と思えば本の構成」で、検討していくと述べました。

 

どうしてかといえば、「タイトル」に対して、「著者プロフィール」は「なるほど、この人ならば、このタイトル通りのことを、説得力をもって言えるだろう」という“根拠づけ”になるからです。

 

わかりやすい話、「年商を10倍に飛躍させるリーダー術」という企画を出すとする。それ自体の魅力はあるけれど、「プロフィール」を見れば「大手の会社の役員を務めたあと、コンサルタント」とあるだけ。だとすると、「大した内容ではなさそうだな?」と思ってしまいますよね。

 

20代向けの本を書きたい……といったときに、「文部省の役人で2人の子どもがいて」なんて話をしてもウリにはなりにくい。ただ、「役人になる前に30代までは世界中を放浪して生活」なんている略歴があると、「この人はどういう人なんだろう?」とちょっと興味も湧いてくるわけです。

 

ただ、そういう話をすると、「自分にはプロフィールに書けるような実績がない。そういう人は企画を通すのはムリになってしまうのか?」という心配も出てくるでしょう。

 

これもじつは「工夫次第」なんです。

たとえば次は、著書で使っている、私の公式なプロフィールです。

 

1968年、東京生まれ。早稲田大学第一文学部卒。大手出版社など数社を経て独立。会社経営のかたわら作家として活躍中。人材プロデューサーとして各分野の才能を発掘しつつ、ネットワークを通じた“非組織プロジェクト”で多くの企画を手がける。ビジネス作家として執筆するかたわら、ライター、プロデューサーとして本の編集・制作に携わっている。

2009年に公私混同のネットワーク、「賀央会」を結成。2011年には、人をつなげることによって展開される新しい電子出版サイト「賢者の書店」を開設している。

著書は『仕事ができる人は、仕事ができる人の真似をしていく』(講談社)……。

 

以下、ずらずらと代表著書が続きますが、それができようになったのは最近になって。つまり初期のころは、「ネットワークを通じた“非組織プロジェクト”で多くの企画を手がける」で売っていたわけです。

 

これ何だ?……っていったら、ようするに「いろんな人と組んで、いろんな仕事をしている(主に出版関係ですが)」ということなんですが、実際よくわかりませんよね。

 

よくわかんないけど、「通常のオフィス業務を超えた、新しい考え方で仕事をしている人」というイメージにはなります。従来の枠を越えた発想をうながすようなビジネス啓発書を企画するとき、この名乗り方が案外と功を奏したわけです。

 

やはりガリュウで連載をしている友人、大谷更生さんは、「プロモーション・シナリオライター」という肩書きを名乗っています。これもよくわからないのですが、「何か新しいノウハウを提示してくれそうだ」という期待を出版側には与えてくれるわけですね。

 

 

この人はどれくらい読者を集めてくれるか?

 

もう一つ「プロフィール」から出版社が期待することは、この「著者が書くことによって、どれくらい読者を集められるか?」という営業的な“思惑”です。

 

先ほど「ずらずらと代表著書が続く」と申しましたが、私の場合、先頭に講談社さんの本を入れています。

 

大して売れたわけではないし、代表作でもなんでもないのですが、「こういう大手出版社から出している」というだけで一つの信用になる。

 

じつは私も出版社側にいましたから、「小さな版元でしか出していない(ベストセラーの有名な本は別ですが)」とか、「ああ自費出版だな」と検討がつくものは、上司のウケが悪いから誰かの企画書を書くときに、あえて外すことがありました。

 

いまの版元さんは、とかく「実績主義」に陥っていますから、「売れていない本」を実績として出すことは、かえってマイナスになることが多くなります。

 

ああこの本、出したのね。パブラインとアマゾンの数値を出して。ああ売れてないね。じゃあボツ……なんてことはいくらでもあるわけです。もちろんウソは書けませんが、著者側は少し注意しなければならないことです。

 

その逆に、「潜在読者」に確保できる数値は、積極的にアピールしたほうがいいでしょう。私はあまり大きなことを言えないから出してしませんが、

・セミナーを開催しているなら、受講者はどれくらいか?

・クライアント数はどれくらいか?

・商売をしている場合、売上規模はどれくらいか?

・企業を相手にしている場合、相手先にはどれくらいの社員がいるか?

・ブログのアクセス数はどれくらいか?

・メルマガの読者数はどれくらいか?

・ツイッターのフォロワー数はどれくらいか?

・フェイスブックのトモダチはどれくらいか?

 

これらは本を出したとき、「どれくらいその本が口コミで広報されるか?」の指標になります。大した数でないならアピールにならないと思うでしょうが、たとえば電子出版などでは、100人未満の数で案外と十分だったりすることもあります。

 

さらに加えると、健康食品を出していて、そのお客さんの一人に有名な芸能人がいる……。こういうのは非常に出版社、飛びつきやすいところだったりします。

 

いずれにしろ「著者プロフィール」というのは、企画書に書く場合には、「マーケティング資料になるように提示する」ということが、望ましいわけです。

 

 

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