夏川 賀央 
 夏川 賀央
 (gaonatsukawa)

【第9回】電子出版の企画について

このエントリーをはてなブックマークに追加

 

皆様、こんにちは。夏川賀央です。

 

ずっと「企画書のつくり方」ということで、話をさせていただいてきました。思いのほか、「本を書きたい!」という人に好評だったようですね。

 

いままではタイトル、構成、プロフィール……など、これまではリアルな書籍を企画するのにも通ずる話。ただ本ブログのテーマはあくまで「電子出版」ですから、ではそれに相応しい企画はどうだろうか、という話を今回はさせていただきます。

 

 

電子出版で売れる企画とは?

 

企画書の話というのは、述べたように「リアルな本」にも通ずる話です。だから「電子出版ではなく、紙の本を出したい人に向けた話をしてくれよ」と言われることはあるし、そう思う方もいらっしゃるでしょう。

 

ただ私がそれをあまりやらないのは、いまの時代、完璧な企画書をつくりあげたからといって、採用される保証ができないからなんです。本が売れない時代、出版サイドでは出版点数を抑え、確実に売れる方の本を出そうと考える傾向が強くなっています。

 

「紙の本」の最大の欠点というのは、結局「コストがかかる」ということ。 つまり、いくら部数や著者へのロイヤリティを落としても、結局は印刷代とか紙代というのはかかってしまいます。

 

それに加え、流通リスクというのも、かなりあるんです。詳しい構造は述べませんが、「書店からの返品」に対するケアをつねに抱えなければならないわけですね。

 

だから部数を極力下げて、返品率を少なくすることを、多くの出版社さんは考えます。「著者がお金を払ってくれて、しかも書店で売らなくてもいい」なんていう自費出版を版元がしたがるのには、やはり理由があるんですね。

 

これらのコストを、すべてなくなるのが電子書籍です。

 

紙代や印刷代はもちろん、データ販売ですから流通リスクもありません。かかるお金は、ほとんど編集やデザインのみです。たとえばパソコンで制作ができる編集者さんと、著者で本をつくる。この人が新人さんで、月に20万円で雇われていたとする。

 

では著者があなただとして、売上の50パーセントをもらえばいいよと。ならば20万円を本で稼いであげるには、40万円の利益を出せばいい。じゃあ400円で売って、これを1000人がダウンロードすればいい……。

 

そう考えると、リアルな交友関係、ブログを見ている人、ツイッターをフォローくれる人、フェイスブックのお友だち、「400円の安さなら、1000人くらい何となるんじゃないか……」と思いません?

 

すると「電子出版の企画が成り立つ条件」というのも見えてきます。ようは「その1冊が確実に利益を出せるか」という見込み条件。読者設定とマーケティングによって、様々な企画が成立可能になるはず……。

 

ところが、現在の状況は、なかなかそうなっていないようです。

 

a0001_016166-198x300

 

目指したい2つの方向性

 

 

電子出版の現状というのを見れば、はっきり言えば「出版社が切り開いた」というより、IT企業やパソコンメーカーが強引につくったものです。

 

だから先行するアップルが目立つのは当然だし、やっとアマゾンが参入して、状況がどう変わるのか……という具合。

 

実質、「読者が電子書籍を読む」という環境は、まだまだ整ってはいません。先に述べた「1000人の読者を確保する」というのも、多くのコンテンツでじつは厳しい状態です。

 

売れるものというのは、恋愛ネタ、クイズなど。むしろ「ベストセラーを安く焼き直したもの」で稼ぐような状況。そういう点で、言ってみれば現在の電子出版販売は「コンビニの書籍コーナー」に似た状況になっています。

 

ようは「軽いものを数十円の低価格で売る」といった有様ですから、ここにまともに本を出しても、あまりメリットは生まれないんですね。ならばどうするかといえば、2つの方向性があるのかな……などと私は思っています。

 

 

1.パソコンを中心に自分で売る

 

 

先に述べたように、100人でも、1000人でも、確実に読者を確保すれば、電子書籍というメディアは成り立つ世界です。

 

だとしたら、むしろコンビニの書店コーナーのようになった書店アプリのサイトより、自分自身のサイトで本を売ったほうがお客さまにはアピールできる。これは当然ですよね。

 

そうすると出す本も、自分のところにくるお客さまにアピールするもののほうがいい……これも当然の帰結だと思います。

 

 

2.なかなか書籍では実現しにくいものを売る

 

 

たとえば『賢者の書店』の本でいえば、カラーブックのポエム『しあわせになあれ』(http://kenjabook.jp/library/pg99.html)だったり、あるいはこれから出版されるプリザーブドフラワーの写真集だったり……。

 

カラーの本というのは、印刷代が4倍かかるという代物ですし、またお花などは「ウチで売っている商品の写真集をつくりたい」という企画ですから、普通は出版するなどなかなか難しい。

 

でも、電子出版を考えれば、コストは同じですし、そのお店を愛するお客さんには、むしろアピールになる。無料ではあるのですが、これはIKEAのカタログアプリが大人気なのと同じ発想ではないかなと思います。

 

このように、うまく交渉すれば、電子出版というは非常に“ゆるく”実現できる可能性はあるわけです。実際に私のほうの「賢者の書店」では、そのような感じで企画をどんどん進行させています。

 

 

次回は一つ例をとりあげて紹介するようにしましょう。

 このエントリーをはてなブックマークに追加
                       
< このカテゴリの前の記事
    
HOME│      このカテゴリの次の記事 >