天野 暢子 
 天野 暢子
 (nobukoamano)

【第25回】ロゴの重み

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ロゴで勤務先が分かる


先日、私は海外に出かけていましたが、その帰りのこと。香港からの乗り継ぎで、私の横には欧米人男性が座りました。3つ並んだシートで2人の間は1席空いていたため余裕があってよかったなと思っていたのです。ところが…。

 

立てば190センチはあろうかという彼は真ん中の席に自分の資料類を放り投げて専有。テーブルも広げて自分のパソコンを置いて仕事(らしきこと)を始めました。つまり、隣に座る私にも、乗務員にも断りなく、2席を自分のワークスペースにしてしまったのです。

 

資料に入っていたロゴから彼の勤務先は私でも知っているスイスの金融機関だと分かりました。時折まっさらのTOKYOガイドブックも眺めていたので、東京勤務で香港に出張に行ったわけではなく、初めて東京に出張するのだと推測できました。「ボクはグローバルなビジネスマンなんだぜ」と気が大きくなっていたのかもしれません。

 

 

通報されてしまった彼


元から3列シートのエコノミー席なので狭いのは構いません。が、世界を代表する金融機関の社員が勤務先の数字が入った資料を広げ、パソコンの画面の内容が隣の人に見られるのは非常にまずい。私が投資家だったら、インサイダー取引をして、彼の会社が大損することもあるのです。

 

頭にきて、「This table is not yours」とつたない英語で怒鳴ろうかと思いましたが、私は彼が窮地に立たされる作戦を思いついたので目の前で大きな声を出すのは我慢しました。帰国してから、その会社のお客様センターにメールを出したのです。

 

「おたくのコンプライアンス(法令遵守)はいったいどうなってるんですか?」。

 

氏名は分かりませんが、広げ回されていた資料のタイトルと会社から貸与のパソコンのナンバーは控えてありましたし、身長や身につけている衣類の特徴も押さえてあったのでそれを伝えました。

 

1日後に来た連絡によると、当該の人物はやはり東京に出張に来たある社員と特定され、役員に呼び出されて厳重注意を受けたそうです。もしかしたら減俸処分や降格処分になったかもしれませんが、それだけのことをしでかした彼が悪いのです。

 

会社のロゴとはこのように、悪事を働けばその会社を特定することもできるし、外国人であっても従業員を特定することもできる、非常に重要なものです。はっきり言って「恐ろしい」。

 

 

誰に見られているか分からない


私も人前で話す内容を移動の乗り物の中でおさらいすることがないでもありませんが、取引先のロゴや名称が入ったようなものは人目につくところでは広げません。

 

取引先企業が入るビルのエレベーター、ランチに入ったレストラン、飲み会で乗り合わせた満員電車などの場面では話題にさえしなければ業務上の機密は守られます。けれども、ロゴの入ったものは、周囲の人が一方的に視覚でとらえているのです。どこで見られているか分かりません。

 

「あのバッジ(社章)は、A社の人だ。みっともない酔い方だな」

「ユニホームにあのロゴが入っているからB企業の人か。結構美人が多いね」

などと見られているのです。

 

プレゼンテーションの資料では表紙やヘッダーに会社のロゴを入れることも多いと思いますが、資料は渡したとたん一人歩きします。

 

ロゴの入ったその資料は外部に出しても恥ずかしくないものですか?

 

このロゴは私一人が守れば済みますが…

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