夏川 賀央 
 夏川 賀央
 (gaonatsukawa)

【第12回】本を「書いてもらう」という考え方

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皆様、こんにちは。夏川賀央です。

電子出版の考え方について考察している連載。

ずっと電子書籍を使ったマーケティングのアイデアを紹介していきました。

 

これからさらに具体的に、電子出版をどのようにつくっていくか……という話をしていきますが、そうはいっても「自分には書く力がないし」という方は多いと思います。

 

ただ、この「書く力がないし」という発想も、電子出版の時代、変わっていくのではないかと私は思っているんです。つまり「ゴーストライター」なんですが、じつはこの言葉、皆さんかなり誤解しています。

 

 

本当は「ゴーストライター」と「語り下ろし」は違う

 

あまり詳しく書くわけにはいかないのですが、「ライターさんに書いてもらう」というのは、出版業界では当たり前です。

 

そして詳細はそれこそ明らかにできませんが、夏川も自分でない著者の本を書いています。じつは自分の本以上に多いでしょう。つまり誰かをインタビュー取材して、その方を著者とした本を「書いてあげる」という仕事を行なっているということですね。

 

むろん、これが小説だったら問題でしょう。ただビジネス書などでは当たり前のことで、ふだん忙しい経営者さんや、コンサルタントさん。その他、各分野のエキスパートの方々が、本1冊を書く時間なんてとれるわけがない。

 

しかも、皆さん経営や営業、あるいは「話すこと」にはプロであっても、「書くこと」に慣れているわけではないんです。本が「読者に読ませるもの」である以上、そんなのはプロが代行したほうが、商品として読者に役立つものになることは当然ですよね。

 

その分野できちんと卓越した能力を持っている人が、文章で表現する能力を持っている人の力を借りて、自分の能力を世に広くアピールするわけです。これはそれぞれの得意技を生かした技術提携だし、ごく普通のアウトソーシングと同じことでしょう。

 

ただ、日本では結構それを「インチキ」と言う人がいます。だから普通、本を出すときに「書いてもらったこと」には言及しません。でも、「自分の本」と「他人の本」を両方書いている立場から言えば、代行した本はインチキなどではまったくないんです。

 

たとえば山田太郎さん、という方の本を私が書くとすれば、インタビューを行なったうえで、私は「山田太郎さんなら、こういうことを言うだろう」と、あくまで「山田さんの脳」で文章を書く。

 

もちろん書いたものは山田さんが精査し、「ああこれは自分の言っていることだ」と納得できるものにまで調整する。そこから生まれるものは、夏川賀央の本とはまったく別物になります。

 

実際、そういう技術を持っているからライター業は専門職になっているわけで、海外ではちゃんと「語り下ろし」として本にクレジットされるのが普通です。かのナポレオン・ヒルも、もともとはアンドリュー・カーネギーの代筆に携わった人でした。

 

 

夏川が「個人向け代筆業」を始めた理由

 

もちろん、ライティングというのは基本的に出版社から依頼されるもの。私もこれまで、「個人から受ける」ということは、行なっていませんでした。これが電子書籍の時代は、各々がもっとライターを雇って仕事ができるようになる……。

 

だからこそ私が運営する「賢者の書店」でも、ライティング業務を始めています。詳しくはこちらをご覧ください(http://kenjabook.jp/pg106.html)。

同じ技術でできる、ということで、「小冊子」や「メルマガ・ブログ」などの仕事も、受注するようにしています。

 

これはつまり、28冊の本を書いている夏川が、数万単位、十数万単位で、皆さまの本を代筆する……ということ。

 

そんなことしちゃっていいんですか?

ちょっと、出版社はいい顔をしないかもしれませんが(苦笑)。まあ、いいんです。

なぜかというのは、単純に「ビジネスモデル」の問題です。

 

というのも、いままで出版社から受けるライティング、たとえば夏川であれば、印税で40万から50万円でお引き受けしていました。それくらいのお金をもらっていたのは、何といっても時間がかかるから。

 

やはり書店に並ぶ商品である以上、差別化したり、売れる要素を盛り込んだり……といった工夫をしますから、どうして1か月くらいの時間はかかってしまう。

 

いまでもこうした出版社からのライティングは、非常に大事な仕事です。だからお引き受けはするのですが、どうしてもこの出版不況の時代。部数も下がり、1冊からの収入が30万円台、20万円台と落ちていく……。労力は変わりません。

 

ところが逆に私がつくっているような電子書籍の仕事は、ページ数は抑えられるし、基本的には「個人のファン」や「お客さま」が主体になりますから、世の本を意識して研究しながら書く必要もないわけです。

 

すると1か月に3冊とか4冊の執筆が可能になってくる。そう、個人からの依頼も、出版社からの依頼も、差がそれほどない時代になってきているんですね。だから私に限らず、こうした依頼に応える作家やライターは、どんどん増えていくでしょう。一般的には出版不況に苦しんでいる作家業界ですが、逆にチャンスも出てきてはいる。

 

しかも「できる人研究家」として仕事をしている私は、何冊も同じようなことを述べている「出版界の売れ筋の人」より、皆さまのように見知らぬ世界の「未来への可能性を持った人」のほうが、取材して勉強になるケースも多い。じつは一石二鳥でもあるんです!

 

ただ問題は、出版業界で当たり前だった「ライティングしてもらう」という発想が、まだ一般的には芽生えていないこと。

 

だから強引に自力で、まるで作文のような広報パンフレットをつくってしまったり、大学の教科書のようなセミナーテキストをつくっていたり、稚拙なメルマガを「ネットが得意なだけ」の社員にムリヤリ配信続けさせたりする状況が続いてしまっているわけです。

 

やはり魅力ある文章がお客さまを惹き付け、文章によって、会社や商品も厳しく選ばれるのが今の世の中です。

 

人に頼むことによって、自分も「自分のやるべきこと」に専念できる。「文章講座」のようなところにお金をかけ続けるのならば、素直に「誰かに頼む」ほうが、費用対効果はずっと高いかもしれませんね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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