天野 暢子 
 天野 暢子
 (nobukoamano)

プレゼン・コンシェルジュの「伝え方教室」【第10回】150兆円プレゼン

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五輪招致が決まってあっけにとられている東京都民のプレゼン・コンシェルジュ、天野暢子です。皆さんはいつ、どこでこのニュースをお知りになりましたか?


■東京都職員だけは必死
9月8日早朝、ブエノスアイレスで開かれたIOC総会で、2020年の夏季五輪とパラリンピックの開催都市が東京に決まりましたね。数日前からマスコミでも「どうなるか?」と騒がしくなりましたが、私は昨年から手帳にその予定を書いていました。「決まるの、こんなに先なの?」と思いながらも。

◎各画面は実家居間のテレビをスマートフォンで撮影したもの

ロゲ会長の発表に日本中が心底驚いた

ロゲ会長の発表に日本中が心底驚いた

開催の是非はともかく、結果だけは見守ろうと思っていたからです。何度も個人のブログに書いてきたのでご存じの方は多いかもしれませんが、“五輪は来ないより来たほうがいいが、そんな大金があるなら震災復興など、ほかのことに使うべきだ”というのが、東京都民でもある私の考えです。

実際、都内でも招致のバッジを胸につけているのは東京都や関連団体の職員のみ。「五輪が来るといいね」といった雑談がされるのを耳にしたことはありません。

ただ、東京都だけは莫大な資金を投入して招致に動いていましたから必死でした。これを獲得しなければ都知事も引責辞任しなければならないほどのお金が費やされてきたのです。


■マスコミも勝つと想定してなかった?
当日は広島の実家にいましたが、夕方、TBSの「ひるおび!」という情報番組から、“招致の最終プレゼンテーションについて取材させてほしい”というメールが来ました。やりとりをして、翌日正午すぎの同番組で私のコメントも紹介していただきました。

番組とも局ともこれまで付き合いはなかったので、番組側も慌ててプレゼンの専門家を探したのでしょう。おかげで運よく日本人としてただ一人所見を述べることができました。

これも五輪特需のうち

これも五輪特需のうち

 
■崖っぷちだからプレゼン力が身につく
決まった当日、翌日あたりはメディアが「招致の経済効果は3兆円」と報道していましたが、私は「そんな小規模なわけがない」と思っていました。数日たつと「経済効果は150兆円」という数字も出てきました。私はこちらのほうが正しいと考えます。

日本に150兆円がもたらされ、前回と合わせて200億円以上が費やされたプレゼンテーションです。「絶対に負けることができないプレゼンテーション」「勝つしかない勝負」とはこういう局面を指します。フェンシングの太田選手が「金メダルしかない勝負」とも呼んでいました。

泣き虫だから彼が起用されたのかもしれない

泣き虫だから彼が起用されたのかもしれない


今回の取材ではさまざまな勝因を答えましたが、究極の理由は実はこれです。
「勝つしかない勝負に勝つにはどうしたらいいか、全員で考え、全員で実行した」。

私がしばしば“プレゼンテーションの勝ち負け”を口にするので、学生などは「勝ち負けという意味がわかりません」と質問してきたりしますが、プレゼンとは今回のように必ず勝ち負けのあるものなのです。

私がプレゼン力を鍛えられたのは「この仕事を受注しなければ、会社は倒産する。社員も家族も路頭に迷う」といった崖っぷちにしばしば立ってやってきたからです。

皆さんもそんな切羽つまった思いを持てば、“どうしたらこの勝負に勝てるだろうか?”と、ありとあらゆる努力をします。そうやって勝ち方が身に付いていくのです。

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